火輪(かりん) 河惣益巳 著

この漫画は、少女漫画でありながら大河ドラマのようなノリと勢いで進んでいく壮大なスケールの、神話ベースの物語です。作者さんの絵柄が少々癖が強く、またいわゆるBL表現もところどころ入り込んでくるため、読む前に手に取らない方も多いかもしれません。が、そんな方々には、もったいない! と声を大にして言いたい作品です。BLが苦手な方や少女漫画が苦手な男性の方にも、物語、ドラマとして楽しめるから読んでみて!! と声を大にして主張したいです。

見所はいくつもあります。架空の国々が舞台の中国風ファンタジー活劇なのですが、作品全体に流れている雰囲気は封神演義かと思います。宝貝こそ出てきませんが、テンション高めに神も仙人も人間も入り交じり、互い複雑に思惑が絡み合いながら、天上地上が連動連携した一大戦争へと発展していく…という辺りの雰囲気は、ほんとそのまんまです。

個人的には、さまざまな場面で策略を巡らせたり、戦術や戦略について話し合ったり、旗印として大将を担ぎ上げたり、といった「軍隊的な戦争物」の面白さもピカイチです。これは少女漫画でなかなか巡り会えない雰囲気ではないかと思います。この作者さんは現代社会時事問題ベースの漫画や、第二次世界大戦前の歴史物などの漫画も描いていらっしゃるので、空想ではない戦争の諸々をきちんと調べ咀嚼した上での創作なのだろうな、と節々で感じました。

とはいえ少女漫画ですので、もちろん! 恋も、もりだくさんです。純愛あり、非純愛あり、妖艶な誘惑者の恋愛あり、マザコン的な少年の慕情あり、親の深い愛あり、ほのかに甘酸っぱい爽やかな恋愛あり、至る所に愛があふれています。

そして少女漫画で外せない、大団円もすばらしいです。非常の大勢のキャラクターがいて、それぞれが長い過去や深い想いを持ち、愛憎入り組んだ状態になるというのに、きちんと「そしてしあわせにくらしました」とまとめられる筆力に、脱帽です。

なんかすごい物語を読みたい、中国風のちゃんとした長編を読みたい、というときには、是非ともご一読を。オススメです!