血界戦線 Blood Blockade Battlefront

血界戦線は、昨年度にアニメ化され、今年十月には第二部が放映予定の原作漫画です。ある日を境に人間だけではない街に変わってしまった元ニューヨークが舞台の、異能力戦闘メインの少年漫画になります。軽めのギャグテイストと重いシリアスさが程良く混じり合った、群像劇が魅力的な漫画です。

魅力的なキャラクターはもちろんですが、面白いのは全容や大本の謎が不透明な世界観と異能の設定です。全体像が見えないのにどうして面白いのかと思われる方も多いかもしれません。実は、この漫画の芯の面白さはメインに据えられている「世界観」「異能設定」ではないのです。

まず挙げられるのは、それぞれのキャラクター同士の掛け合いの面白さです。キャラクターが特徴や見た目や口癖だけて成り立っている、薄っぺらい創作では得られないイキイキとした言葉のやりとりは、コントや小芝居を見ているような「きちんと作りこまれた面白さ」「安心して読める爽快感」があります。

もちろんストーリーの面白さもあります。一話ずつのお話として読めるのは勿論、時折シリアスに、時折各キャラクターにスポットを当てて、色々な切り口で世界を見せていってくれる形は、オムニバス映画のような、ストーリーとストーリーが繋がっていく面白さも味わえます。

あとどうしても挙げておきたい本作の魅力は、やはり独特の世界の中、価値観の中で起きる事件の目新しさと、その独特の解決方法だと思います。この世界だから起きた事件を、この世界だから出来る解決方法で解決していく、その流れがコマ割りや絵の巧さや勢い、会話のテンポや漫画ならではの絵的表現で解決されていきます。短ければ連載一話分、長い場合はコミックス1巻分で、起きて解決されていく事件を通して、世界の雰囲気や価値観や各キャラクターの魅力が描かれるさまは、設定や能力こそ人間離れしていますが、漫画の王道の描き方であり、読みすすめていく時に得られる楽しさであり心地よさだなと感じます。

そして最後に挙げておきたい魅力は、スポットを当てられるメインキャラクターが大勢いる中、誰もが世界が明日滅ぶかも知れない危うさの中できちんと前を向いて人生を歩んでいる、作品に漂うポジティブさです。暗さもあり、憎しみもあり、過去も背負い、人が大勢死ぬ作品であるにもかかわらず、そこをきちんと描いているのは、少年漫画としてのピカイチの魅力であると思います。